
近年、キャンプ場の運営においても、予約管理のデジタル化が進んでいます。しかし、ホテル業界と比較すると、キャンプ場の予約システムはまだ発展途上の段階にあります。本記事では、キャンプ場の予約システムについて、ホテル業界のシステムと比較しながら解説し、キャンプ場運営者が今後どのように活用していくべきかについて考察します。
Contents
1. キャンプ場の予約経路と現状
キャンプ場を訪れる顧客は、以下のいずれかの方法で予約を行います。
- 予約不要(先着順)
事前予約を受け付けず、当日来場した順に案内する方式。特に人気のある無料キャンプ場などで見られる。 - オフライン予約(電話・FAX・往復はがき)
昔ながらの方法で、特に高齢層の顧客や、地域密着型のキャンプ場で今も利用されることが多い。 - オンライン予約(Webサイト・予約サービス・メール・SNS)
近年増えている方法で、管理の手間を削減できるため、多くのキャンプ場が導入を検討している。
この記事では、特にオンライン予約システムに焦点を当て、ホテル業界と比較しながら考えていきます。
2. ホテル業界の予約システムの構成と役割
ホテル業界では、予約管理を支えるさまざまなシステムが活用されています。代表的なものとして、以下の4つが挙げられます。
1) OTA(Online Travel Agency)
OTAは、オンライン旅行代理店の略称で、宿泊施設の予約を一元的に取り扱うプラットフォームです。代表的なOTAとして、Expedia、Booking.com、じゃらん、楽天トラベル、一休.com などがあります。AirBnbなどもそのうちの一つですね。
OTAを利用することで、宿泊施設は自社の宣伝を行う手間を省きつつ、多くの顧客にリーチできるメリットがあります。一方で、予約ごとに手数料が発生するため、施設側はコストとリターンを考慮した運用が求められます。
▶︎キャンプ業界の例
キャンプ場向けのOTAとしては、なっぷや楽天トラベルキャンプなどが存在し、同様の機能を提供しています。特に「なっぷ」は国内最大手のキャンプ場予約サイトであり、多くのキャンプ場が利用しています。
2) サイトコントローラー
サイトコントローラーは、複数のOTAに掲載している宿泊施設の予約情報を一元管理するシステムです。
たとえば、異なるOTAで同じ部屋が予約されるとダブルブッキングが発生する可能性がありますが、サイトコントローラーを導入することで、各OTAの在庫状況をリアルタイムで同期でき、こうした問題を防ぐことができます。
▶︎ キャンプ業界の現状
キャンプ場向けのサイトコントローラーはまだ発展途上であり、ホテル業界のように広く普及していません。現時点ではなっぷがシステムを独占している状態で、他のプラットフォームとの連携は限定的です。しかし、楽天トラベルキャンプの参入などにより、市場の変化が期待されています。
3) PMS(Property Management System)
PMS(施設管理システム)は、ホテルや旅館の運営を効率化するためのシステムです。主に、予約管理・客室管理・料金管理・売上管理・スタッフスケジュールの最適化 などを担います。
これにより、ホテルはよりスムーズな運営が可能となり、スタッフの負担を軽減できます。
▶︎キャンプ場における課題
キャンプ場向けのPMSはまだ一般的ではなく、多くのキャンプ場ではアナログな管理方法が用いられています。しかし、今後はホテル業界と同様に、PMSの導入が進むことで、予約管理の効率化が期待できます。
4) CRM(Customer Relationship Management)
CRM(顧客管理システム)は、顧客データを一元管理し、マーケティング活動や顧客サポートを最適化するシステムです。
たとえば、過去の宿泊履歴や好みのサービスを記録し、それに基づいたキャンペーンや特典を提供する ことで、リピート率を向上させることが可能です。
▶︎キャンプ業界の可能性
現在のキャンプ場業界では、CRMの活用はまだ限定的ですが、今後は顧客のデータを活用したパーソナライズされたサービスの提供が求められるようになるでしょう。

3. キャンプ場 予約システムとホテル 予約システムの対比
一般的なホテル業界は、この様なシステムの組み合わせを各社考えながら運営されています。
さて、一方でキャンプ業界は、というと現在(2025年2月)の主なプレーヤーの機能はこの様なイメージですね。

キャンプ場の予約システムで必要なものは、なっぷが全てを持っている状況となっており、逆にいえば他の選択肢があまりないというのが今の現状です。
一方で、追いかける楽天トラベルキャンプは、サイトコントローラーと連携、および、これまでキャンプ系OTAを運用していたhinata spotやTAKIBIキャンプ予約などの裏側を対応しているのが興味深く、戦略の違いが見えてきています。
また、ここに書かれていない範囲で言うと、予約システムを個別で導入しているキャンプ場も実は多いです。自社のWebサイトで予約を受け付けする場合、自社開発、あるいは、外部サービスの利用、が選択肢です。 自社のWebサイトからの流入の方が、手数料を取られない分有利でありますが、一方で管理の手間や初期投資がかかる点は要注意です。
4. キャンプ場 予約 システムの選び方
キャンプ場の運営者が予約システムを選ぶ際、以下のポイントを考慮する必要があります。
- 予算 システム導入コスト、月額利用料、予約手数料を考慮し、経済的に持続可能なものを選びましょう。
- 機能 予約管理、キャンセルポリシー設定、料金調整、顧客データ管理など、必要な機能が揃っているかを確認します。
- 使いやすさ スタッフが直感的に操作できるかどうかが重要です。操作性が悪いと業務の効率が下がります。
- サポート体制 トラブル発生時に迅速なサポートを受けられるかどうかをチェックしましょう。
- 将来の拡張性 他のシステムとの連携や、新機能追加の柔軟性があるかどうかを確認します。

5. 今後の キャンプ場 予約システムの展望
- サイトコントローラーの普及 今後、キャンプ場向けのサイトコントローラーが発展すれば、予約の最適化が進むと予想されます。
- AI・機械学習の活用 顧客の予約傾向を分析し、最適な価格やキャンペーンを提案するシステムが導入される可能性があります。
- モバイルアプリの普及 モバイル予約の需要が高まる中、キャンプ場向けのアプリが増えると予想されます。
- OTAを活用したインバウンド戦略 日本のキャンプ場が海外の観光客をターゲットにする場合、ExpediaやAirbnbといったグローバルOTAとの連携がカギとなるでしょう。
6. 別の視点:ホテル業界のレベニュー・マネジメントとOTA
ホテル業界では、「レベニュー・マネジメント」という言葉があります。
適切なタイミングで、適切なチャネルを通じて、適切なお客様に適正価格で販売をしていくこと、を差します。
具体例で言うと、
- 繁忙期の価格を、需要に応じて上下するように設定する。直前にあと1部屋しか予約がない場合に値段をあげたり、なかなか埋まらない場合は値段を下げるなどを自動的に行う。
- 放っておいても予約が入る連休や繁忙期は、自社サイトのみから予約を受け付け、閑散期はOTAを通じて拡販する、などです。こうすると、OTA手数料を取られず利益が上がりますし、閑散期はその分一気に露出が増えます。
この考え方って、キャンプ場の売り上げを上げるためにも、活用できそうじゃないでしょうか?
また、キャンプ業界も、今後はもっと幅広いお客様を受け入れていく業界になっていくと、個人的には思っています。つまり、日本の国外からのお客様にキャンプをしてもらう動線を積極的に作っていく必要がある、ということです。
2025年2月現在、明確にこれだ、と国外のお客様に紹介をできるチャネルはありません。そうなると、やはり既存のホテルなどが活用する外資系のOTAなどは、多言語対応もできていますので、まずの入り口となるポテンシャルとしては非常に高いと考えています。

7. キャンプ場 予約システム まとめ
これまで、キャンプ場の予約システムを、ホテル業界と比較をしながら、紹介をしてきました。いかがでしたでしょうか?
個々のキャンプ場の「どういうお客様に来てもらいたいか」などの販売戦略と、システム戦略は切っても切ることができません。
ここ数年、一気にキャンプ場は増え、需要の伸び以上に供給が増え、競争が激化しています。これは、キャンプをする人にとっては選択肢が増えて良いことですが、キャンプ場の経営者にとっては一大事です。
この競争で戦っていくためにもぜひ一度、自分たちのシステム戦略を見直してみてください。それはきっと、
お客様にとっても、よりアウトドアが身近になることにつながる
と思います。
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